2026.09.29 /
Episode 12:篠原ともえ デザイナー・アーティスト
私が星空に心を奪われた原点は、7歳の誕生日に両親から贈られた双眼鏡でした。
小さな私が大きな双眼鏡をのぞいた瞬間、今見えている星たちだけでなく無数の星たちが光となって現れました。そしてレンズ越しによ〜く見ると、青白く輝く星、やさしく黄色く光る星、ほんのり赤みを帯びた星……。一つひとつに個性があり、静かに瞬く姿に「星にもそれぞれの表情があるんだ」と感動したことを、今でも鮮明に覚えています。
それから夜空を見上げることは私の楽しみのひとつになり、高校では天文部に入りました。星座や星の名前を覚えていくうちに、季節が巡るたびに再会できる友達のような存在になるのですから不思議です。
そんな私にとって、もうひとつ忘れられない星空があります。母方の祖母が暮らしていた東京都・青ヶ島です。この島は世界でも珍しい二重カルデラの地形を持つ火山の島で、海に囲まれ、人工の光がほとんど届かない夜には、空いっぱいに星々が広がります。地熱のぬくもりを感じながら寝転んで夜空を見上げていると、自分が宇宙を見ているというより、宇宙の中に包まれているような感覚になるのです。
この島で自然とともに生きた祖先に思いを馳せるたび、美しさの奥にある大きな自然の力を感じます。双眼鏡で初めて知った星の輝きと、青ヶ島で体感した宇宙の広がり。その二つの原風景は、今も作品を生み出すたびに、私の感性の奥から静かによみがえります。
その後、ご縁をいただき、現在はTOKYO FM「東京プラネタリー☆カフェ」でラジオパーソナリティーを務め、毎週、宇宙や星空の魅力をお届けしています。専門家の方々のお話を伺うたびに、幼い頃に抱いた「もっと知りたい、ずっと眺めていたい」という好奇心は、今も新しい発見へとつながっていくのだと思います。