2026.09.29 /

Episode 4:佐治晴夫 北海道美宙天文台 名誉台長

太平洋戦争開戦からわずか4ケ月後の1942年4月18日(土)の昼過ぎ、友人と下校途中の私たちの頭上に覆いかぶさるかのように見慣れない双尾翼の飛行機が超低空で飛来、近隣の森の中から高射砲射撃が始まりました。驚いて家に駆け込んだ時に空襲警報のサイレンが鳴りました。
今から83年前(2025年掲載時点)のことです。これは前年12月8日(現地時間7日)、日本軍による真珠湾奇襲攻撃への報復と日本国民への戦意喪失を狙ったアメリカ空軍による日本本土への決死の初空襲でした。
その翌週、朝礼の後、担任の先生が言われたのです。「今週の土曜日に、君たちを連れていきたいところがある」その行き先が、当時日本には2基しかなかったプラネタリウムの1基が設置されていた有楽町の東日天文館でした。
トロイメライの美しい調べとともに、暮れていく空に輝く星の世界に圧倒されました。
戦時にもかかわらず、授業のはじめには宮澤賢治の作品の読み聞かせをしておられた先生は、万人に対して最も公平な存在が星であり、星に親しむことこそが、平和を築く礎石になると思っておられたのではないかと今では推測しています。
後に物理学を専攻し、宇宙創生の謎に挑むきっかけとなった忘れ難い出来事でした。

佐治晴夫 北海道美宙天文台 名誉台長 (2025年12月1日公開)