2023.03.15 / プレスリリース

富山市科学博物館のプラネタリウムがリニューアル
光学式投映機の精緻な星空が13年ぶりに輝く

株式会社五藤光学研究所(取締役社長 五藤 信隆、東京都府中市)は、富山市科学博物館(富山県富山市/館長:水高清志)に「ケイロンⅢ・ハイブリッド」を納入設置しました。同システムは、天の川を約1億個の微恒星で再現する光学式投映機「ケイロンⅢ」と、レーザー光源の4Kプロジェクターを採用した全天周デジタル映像システム「バーチャリウムⅡ」を融合した「ハイブリッド・プラネタリウム」です。2009年に設置されたデジタルプラネタリウムから13年ぶりに光学式プラネタリウムが復活。精緻な星空と、明るく高精細な全天映像を提供できるドーム空間に生まれ変わりました。同博物館のプラネタリウムは、2023 年3 月16日(木)より一般公開されます。


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リニューアルの詳細

[ 経緯・概要 ]

富山市科学博物館(富山県富山市/館長:水高清志)は富山の自然を科学の視点でさぐる科学博物館です。1979年(昭和54年)、直径18m水平型のプラネタリウム「GMⅡ-AT(五藤光学研究所製)」を備えた富山市科学文化センターとして開館。1994年(平成6年)、宇宙型プラネタリウム「GSS-HELIOS(同社製)」へ更新。2007年(平成19年)、富山市科学博物館へと名称が変わり、2009年(平成21年)には、これまでの光学式プラネタリウムを廃し、デジタルプラネタリウムが導入されました。今回のリニューアルにあたっては、更新基本計画で定められた“感動的な星空や迫力ある映像によって人々をひきつける科学への導入空間”というコンセプトに基づき、光学式とデジタル式双方の導入が決まり、弊社の最新鋭機「ケイロンⅢ・ハイブリッド」が採用されました。リアルで美しい星空と迫力あるデジタル映像が全天に拡がる空間へと生まれ変わりました。

[ 富山市科学博物館ならではの特徴 ]

光学式投映機は、富山県の伝統工芸をイメージさせるオリジナルデザインを採用。恒星球緯度カバーの表面には富山県高岡市の伝統着色技法である「緑青発色仕上げ」を施しています。
全天周デジタル映像システムには、国立科学博物館(東京都台東区/館長:篠田謙一)が有するティラノサウルスやトリケラトプスなど5種類の骨格標本3Dモデルを実装し、ドーム上で様々な角度から観察することができます。
さらに、富山県内に生息する動物の骨格標本や化石、植物などの内部構造を3Dモデル化できるCTスキャナー、全球の空撮が行えるドローンなどの撮影機材を備えることで、富山市科学博物館が対象とする、海、山、自然など、天文分野以外の学芸員とも連携する新たな活用が可能になりました。

富山市科学博物館 学芸課長 林忠史 氏は、以下のように述べています。
「デジタル映像では難しかった美しい星空を、今回再導入した光学式投映機により再現できるようになりましたので、多くの人に見に来てもらい、宇宙への興味を深めてもらえればと思います。またドーム空間は没入感のある映像を周りの人と共感しながら楽しめる空間であり、当館には動物・植物・昆虫など様々な分野の学芸員がいることから、天文に限らず科学の幅広い話題を提供する場として活用していきたいと考えています。」

[ 機器の詳細 ]

天の川を約1億個の微恒星で再現する光学式投映機「ケイロンⅢ」
光学式投映機「ケイロンⅢ」は、より本物に近い自然で美しい星空を追求し、明るくシャープな星像を投映します。肉眼で見ることのできる約9,500個の主恒星には、3.5等級よりも明るい約300個の恒星に固有の色が付加され、約1億個の微恒星で描かれる天の川には、300以上の星雲星団、2000以上の暗黒星雲をリアルに再現しています。さらに、季節や天候などにより異なる星の瞬きや暮れなずむ空に輝き始める星々を、独自の調光機能で、これまでにないほど自然に再現します。また、星空解説に必要な風景や、星座絵、星座線などのデジタルによる映像も、「ケイロンⅢ」の美しい星空と融合させながら自在にコンソールで操作できます。

<主な仕様>

  • オリジナルデザインの本体(特別仕様)
  • 約1億個の微恒星で描かれる高精細な天の川
  • 300以上の星雲星団、2000以上の暗黒星雲の再現
  • 3.5等級よりも明るい約300個の恒星の固有色を忠実に再現
  • 6.5等星までの等級差を自由に調整する等級差可変機能を搭載
  • 朝夕焼け、薄明薄暮の各投映機を本体に同架
  • デジタル映像との連動(ハイブリッド対応)

高精細な全天周デジタル映像システム「バーチャリウムⅡ」
全天周デジタル映像システム「バーチャリウムⅡ」は、光源にレーザー光を用いた4Kプロジェクターに自社で設計した専用レンズを装着し、ドーム全天に映像を繋ぎ目無く投映します。
また、観測に基づく宇宙の最新データが搭載した最新のデジタルプラネタリウムシステム(Release 7)です。88種類の星座絵や星座線、惑星やメシエ天体などの各種画像を投映することは勿論、天文学の各種データにより、宇宙の大規模構造や宇宙空間から見る太陽系惑星の運動、あるいは日月食などの天文現象も再現できます。

<主な仕様>

  • 全天風景画像やドローンによる空撮映像の投映
  • 光学式の星空を補完するデジタルプラネタリウム機能や各種シミュレーション機能を搭載
  • 高精細な地形データを実装し、富山市上空を俯瞰しながら宇宙への視点移動、さらには138億光年の深宇宙の姿まで投映可能

[ その他の改修 ]

北に富山湾、東には雄大な立山連峰、西には丘陵地帯が連なり、南には田園と山地の風景が広がる自然豊かな富山市ならではの色彩をイメージした内容で、快適かつ安心して観覧できるよう室内を改修しました。全ての座席を一新し、様々なニーズに対応するペアシートを新たに設置。出入口正面には、従来より広げたステージを設け、多目的スペースや寝転びスペースとしての利用も可能になりました。また、抗菌・抗ウイルスコーティングによる感染対策とバリアフリー化を図るとともに、ヒアリングループエリア、車椅子のまま鑑賞できるスペース、ドーム出入口に前室を設けるなど、幅広いお客様に快適にご利用いただけます。
さらに、天文展示室も改装し、惑星の重力体験などができる展示エリア、写真などが掲示できるギャラリースペース、デジタルサイネージにより様々な天文情報を得られる空間にリニューアルしました。

富山市科学博物館

富山県の標高3000mから海底1000mまでの自然を、科学の視点で紹介する博物館です。県内で発見された恐竜足跡化石、ティラノサウルスの動く模型、大型のクジラの骨格標本、高山から深海までを含む富山の多様な自然、ダイヤモンドダストを人工的に生成する装置、プラネタリウムなど、多彩な展示を通じて、富山の自然と、そこに生きる人々のかかわりを知ることができる科学博物館です。

〒939-8084 富山市西中野町一丁目8-31
オフィシャルHP  https://www.tsm.toyama.toyama.jp/

独立行政法人国立科学博物館

国立科学博物館(科博)は、1877(明治10)年に創立された、日本で最も歴史のある博物館の一つであり、自然史・科学技術史に関する国立の唯一の総合科学博物館です。

〒110-8718 東京都台東区上野公園 7-20
オフィシャルHP  http://www.kahaku.go.jp/index.php

解説

[ 株式会社五藤光学研究所(GOTO INC)]
プラネタリウム、大型映像システム、天体望遠鏡製造のトップメーカー。 特にプラネタリウムでは小型から超大型のプラネタリウムに至るまで多機種を開発し、現在では1000台を超える納入実績(累計)があります。全天周フィルム映像(アストロビジョン)や全天周デジタル映像装置(バーチャリウム)では、他社に先駆けて機器システムを開発する他、機能を活かした映像コンテンツを制作し、機器の維持管理、施設運営なども行っています。

〒183-8530 東京都府中市矢崎町四丁目16番地
オフィシャルHP  https://www.goto.co.jp/

[ ハイブリッド・プラネタリウム(HYBRID PLANETARIUM)]
株式会社五藤光学研究所が2004年に開発、提唱した新しいプラネタリウムシステムです。光学式プラネタリウムと様々な迫力ある映像を投映する全天周デジタル映像システムを融合させ、各々が常に同じ座標空間を投映できる仕組みを有するもので、日本国内に留まらず、プラネタリウム発祥の地であるドイツをはじめ、米国、欧州、中東、アジア諸国などに数多くの納入実績を誇ります。
同システムは、ドーム径に応じた各種の光学式投映機を有しており、ドーム径4mから最大50mまで幅広く対応しています。

[ ケイロンⅢ(CHIRONⅢ)]
ドーム直径16~30ⅿの中・大型ドーム向けの光学式プラネタリウム。明るくシャープな星像で、色彩豊かな自然で美しい星空を提供することができる他、約1億個の微恒星で描かれる天の川を恒星とは個別に調光できるなど、多彩な機能によって幅広い用途に応じた星空の再現ができます。「ケイロンⅢ」は、これまでに札幌市青少年科学館(北海道)、さいたま市宇宙劇場(埼玉県)、大崎生涯学習センター(宮城県)、府中市郷土の森博物館(東京都)、安城市文化センター(愛知県)、倉敷科学センター(岡山県)、さぬきこどもの国(香川県)、浜松科学館(静岡県)、三重県立みえこどもの城、北九州市科学館(福岡県)に納入。今後も、国内外への納入が予定されています。

※ ハイブリッド・プラネタリウム(HYBRID PLANETARIUM)、ケイロン(CHIRON)、バーチャリウム(VIRTUARIUM)は日本国内における株式会社五藤光学研究所の登録商標です。

本件に関するお問い合わせ:  株式会社五藤光学研究所 営業本部 企画営業 TEL 042-362-5366