2023.04.28 / プレスリリース

仙台市天文台のプラネタリウムがリニューアル
直径25mドームに広がる美しい天の川

株式会社五藤光学研究所(取締役社長 五藤信隆、東京都府中市)は、仙台市天文台(台長 小野寺正己、宮城県仙台市)に「ケイロンⅢ・ハイブリッド」を納入設置しました。同システムは、天の川を約1億個の微恒星で再現する光学式投映機「ケイロンⅢ」と、レーザー光源の4Kプロジェクターを採用した全天周デジタル映像システム「バーチャリウムⅡ」を融合した「ハイブリッド・プラネタリウム」です。これにより、多彩な表情を再現できる光学式の美しい星空と、鮮やかで高精細なデジタル映像が全天に広がる最新のドーム空間に生まれ変わりました。
プラネタリウムは、2023 年4 月29日(土)よりプレオープンし、リニューアル記念番組「サステナブル・スペース -仙台の宇宙」が投映されます。


リニューアルの詳細

[ 施設の概略と経緯 ]

仙台市天文台(台長 小野寺正己、宮城県仙台市)は、2008年に青葉区桜ヶ丘公園から現在の青葉区錦ケ丘に移転移設し、国内初の天文台PFI事業としてリニューアルオープンしました。プラネタリウムは直径25mで水平型プラネタリウムとしては東日本最大の大きさを誇り、年間約12万人(コロナ禍前実績)にプラネタリウムが利用されています。移転後15年目の大規模修繕計画にはプラネタリウムの更新が含まれ、施設のコンセプト“宇宙を身近に”を提供でき、なおかつ時代にふさわしい機器として、弊社最先端の「ケイロンⅢ・ハイブリッド」を納入しました。

[ 更新の特徴 ]

今回のリニューアルの特徴は、仙台市天文台のための「ハイブリッド・プラネタリウム」として更新された点です。納入した「ケイロンⅢ」は、明るくシャープな星像で、多彩な表情を見せる美しい星空を投映できるだけでなく、同天文台のブランドロゴとカラーを採用したオリジナルデザインとなっています。従来機「ケイロン」に比べ、恒星球の大きさが約70%に小型化されたことで、観覧者の視界を遮ることなく星空を観覧できるようになりました。また、全天周デジタル映像システム「バーチャリウムⅡ」は、様々な宇宙のデータを搭載した最新システム(Release7)とレーザー光源を採用した4Kプロジェクターにより、遥か彼方まで広がる最新の宇宙の姿を色鮮やかに映し出します。
さらに、座席足元にLED照明を新たに設置することで、これまで以上に入退場時の安全を確保したほか、本体保護サークルの周囲にも調色可能な間接照明を設置し、安全で居心地の良いドーム空間になるよう工夫を施しています。

[ 納入した機器について ]

星空の表現を自在に変えられる光学式投映機「ケイロンⅢ」
光学式投映機「ケイロンⅢ」は、搭載された多彩な調光機能によりあらゆる星空を再現できます。市街地の星空や星座を紹介したい時は、肉眼で見ることのできる約9,500個の星だけを、降り注ぐような満天の星空を紹介したい時には、天の川を含めた星空を、更にはその時々の伝えたい星空の情感に合わせて等級差を調整すれば、一般投映から学習投映、そしてヒーリングなどあらゆる場面に適した星空をドームスクリーンに映し出します。
また、3.5等級よりも明るい約300個の恒星は固有の色が付加され、約1億個の微恒星で描かれる天の川には、300以上の星雲星団、2000以上の暗黒星雲をリアルに再現しています。季節や天候などにより異なる星の瞬きや暮れなずむ空に輝き始める星々も独自の調光機能で、これまでにないほど自然に再現します。さらに、「ケイロンⅢ」の美しい星空とデジタル映像を融合させながら自在に投映操作ができるハイブリッド対応機です。

<主な仕様>

  • オリジナルデザインの本体(特別仕様)
  • 約1億個の微恒星で描かれる高精細な天の川
  • 300以上の星雲星団、2000以上の暗黒星雲の再現
  • 3.5等級よりも明るい約300個の恒星の固有色を忠実に再現
  • 6.5等星までの等級差を自由に調整する等級差可変機能を搭載
  • 9個の変光星を再現
  • デジタル映像との連動機能(ハイブリッド対応)

高精細な全天周デジタル映像システム「バーチャリウムⅡ」
全天周デジタル映像システム「バーチャリウムⅡ」は、光源にレーザー光を用いた4Kプロジェクターに自社設計の専用レンズを装着し、ドーム全天に映像を繋ぎ目なく投映します。観測に基づく宇宙の最新データや高精細な地形データなどを搭載したデジタルプラネタリウム機能(Release7)を有し、地球の大気、夕景や雲の描写などを緻密に表現することが可能です。
また、地球に様々な環境データをマッピングして投映することが出来ることから、宇宙の視点で地球を考える環境学習にも役立てることが可能です。さらに、4K映像キャプチャ機能によって、望遠鏡が捉えた映像や外部から送られてくる海外の日食、オーロラ中継などをリアルタイムにドームスクリーン上に投映することが可能です。

© 仙台市天文台

<主な仕様>

  • 光学式の星空を補完するデジタルプラネタリウム機能や各種シミュレーション機能
  • 高精細な地形データを実装し、仙台市上空を俯瞰しながら宇宙への視点移動、さらには138億光年の深宇宙の姿まで投映可能
  • 4K映像入力機能
  • 地表面のリアルタイム描写
  • 宇宙の視点で地球環境を学べる機能(大地、大気などの環境データを実装)

© 仙台市天文台

[ リニューアル記念番組「サステナブル・スペース -仙台の宇宙」 ]

このリニューアルに合わせて、記念番組「サステナブル・スペース -仙台の宇宙」を制作しました。同番組は、地上から見上げた夜空の再現に留まらず、宇宙から地球をみつめる視点を獲得することを意識したものであり、持続可能な社会の実現に向けて、プラネタリウムがそれに貢献できることを示した特別番組です。最先端の「ハイブリッド・プラネタリウム」ならではの映像演出により、美しい星空と広大な宇宙を体感できます。

※ 投映スケジュールなどは施設のホームページをご参照下さい。
https://www.sendai-astro.jp/renewal.html

[ その他の改修 ]

解説している声がその星の方向から届く「ダイレクティビティ・スピーカー」を増設
星空の解説をより聴き取りやすくする、”ダイレクティビティ・スピーカー”を新たに設置しました。増設したスピーカーにより、説明している星空の方角から解説者の声が聴こえるようになり、声のする方向に自然と目を向けられるようになります。健常者だけでなく、高齢者や聴力が低下した来館者の聴こえをサポートするほか、視覚に障害のある方にも声のする方向を感じ、宇宙の広がりを感じられることを目指しています。

観客とのコミュニケーションツールの拡充
座席に埋め込まれた数字ボタンを押すことでアンケートや質問の答えを送信できる「レスポンスアナライザ」を一新。わかりやすいグラフで回答結果を集計でき、クイズ感覚で楽しんで学習に参加することができます。また、ドームスクリーンに投映された星空にリアルタイムでお絵かきが出来る機能を新たに追加。お客様と解説員が一緒になって、一味違った星空演出をすることができます。

仙台市天文台

仙台市天文台は、1955年(昭和30年)に仙台市中心部に近い西公園に市民天文台として開台し、1968年(昭和43年)、東北初となるプラネタリウム「M-2(五藤光学研究所製)」が設置。その後、2度に渡り、プラネタリウム機器が更新されました。2005年(平成17年)、天文台では日本で初めてのPFI事業として新仙台市天文台整備・運営事業がスタートし、現在の青葉区錦ケ丘に移転移設されて、2008年(平成20年)7月1日に新しい仙台市天文台としてリニューアルオープンしました。口径1.3mのひとみ望遠鏡も備え、2022年(令和4年)には延べ入館者数が400万人を突破するなど、市民から広く愛されている施設です。

〒989-3123 仙台市青葉区錦ケ丘9丁目29-32
オフィシャルHP  https://www.sendai-astro.jp/

PFI

PFIとは、民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法です。正式名称を、「Private Finance Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」といい、その頭文字をとってPFIと呼ばれています。弊社は、PFI法に基づくPFI事業(新仙台市天文台整備・運営事業)の一環で設立された「特定目的会社(SPC:Special Purpose Company)」の構成企業であり、2006年(平成18年)3月から30年間の仙台市天文台の運営を受託しています。

解説

[ 株式会社五藤光学研究所(GOTO INC)]
プラネタリウム、大型映像システム、天体望遠鏡製造のトップメーカー。 特にプラネタリウムでは小型から超大型のプラネタリウムに至るまで多機種を開発し、現在では1000台を超える納入実績(累計)があります。全天周フィルム映像(アストロビジョン)や全天周デジタル映像装置(バーチャリウム)では、他社に先駆けて機器システムを開発する他、機能を活かした映像コンテンツを制作し、機器の維持管理、施設運営なども行っています。

〒183-8530 東京都府中市矢崎町四丁目16番地
オフィシャルHP  https://www.goto.co.jp/

[ ハイブリッド・プラネタリウム(HYBRID PLANETARIUM)]
株式会社五藤光学研究所が2004年に開発、提唱した新しいプラネタリウムシステムです。光学式プラネタリウムと様々な迫力ある映像を投映する全天周デジタル映像システムを融合させ、各々が常に同じ座標空間を投映できる仕組みを有するもので、日本国内に留まらず、プラネタリウム発祥の地であるドイツをはじめ、米国、欧州、中東、アジア諸国などに数多くの納入実績を誇ります。
同システムは、ドーム径に応じた各種の光学式投映機を有しており、ドーム径4mから最大50mまで幅広く対応しています。

[ ケイロンⅢ(CHIRONⅢ)]
ドーム直径16~30ⅿの中・大型ドーム向けの光学式プラネタリウム。明るくシャープな星像で、色彩豊かな自然で美しい星空を提供することができる他、約1億個の微恒星で描かれる天の川を恒星とは個別に調光できるなど、多彩な機能によって幅広い用途に応じた星空の再現ができます。「ケイロンⅢ」は、これまでに札幌市青少年科学館(北海道)、さいたま市宇宙劇場(埼玉県)、大崎生涯学習センター(宮城県)、府中市郷土の森博物館(東京都)、安城市文化センター(愛知県)、倉敷科学センター(岡山県)、さぬきこどもの国(香川県)、浜松科学館(静岡県)、三重県立みえこどもの城、北九州市科学館(福岡県)、Planetarium Śląskie Park Nauki(ポーランド)、富山市科学博物館(富山県)、東大阪市ドリーム21(大阪府)に納入。今後も、国内外への納入が予定されています。

※ ハイブリッド・プラネタリウム(HYBRID PLANETARIUM)、ケイロン(CHIRON)、バーチャリウム(VIRTUARIUM)は日本国内における株式会社五藤光学研究所の登録商標です。

本件に関するお問い合わせ:  株式会社五藤光学研究所 営業本部 企画営業 TEL 042-362-5366