2025.07.16 / プレスリリース

世界初、10億個の星と8K映像を融合
相模原市立博物館に「ケイロンⅢ・ハイブリッド」を納入

株式会社五藤光学研究所(取締役社長:五藤信隆、東京都府中市)は、相模原市立博物館(館長:並木さとみ、神奈川県相模原市)に、「ケイロンⅢ・ハイブリッド」を納入・設置しました。同システムは、約10.3億個の恒星で天の川を再現する光学式プラネタリウム「ケイロンⅢ」と、8K相当の高精細映像を投映する全天周デジタル映像システム「バーチャリウムⅡ」を融合したものです。光学・デジタルの双方において世界最高レベルの性能を備えたハイブリッド・プラネタリウムの納入は世界初であり、光学式ならではの美しい星空とダイナミックな映像を楽しむことのできるドーム空間に生まれ変わりました。
同館のプラネタリウムは、2025年7月16日(水)より一般公開されます。投映スケジュールなどの詳細は、施設ホームページをご確認ください。


リニューアルの詳細

[ 施設の概要と経緯 ]

相模原市立博物館は、地域の歴史、文化、自然、天文を扱う総合博物館として1995年に開館しました。JAXA宇宙科学研究所に隣接する立地を活かし、宇宙に関する教育やシティプロモーションの中核施設としてプラネタリウムを活用しながら、市民に広く親しまれてきました。
しかしながら、開館から30年以上が経過したことで機器の老朽化が進み、2024年に機器更新が行われることになりました。更新に当たっては、「学習利用に適した正確性・操作性・創造性」と「観る人に感動を届ける性能」などの条件を満たし、『相模原市が全国に誇れるプラネタリウム施設』となるべく、「ケイロンⅢ・ハイブリッド」が選定されました。

[ 納入機器 ]

最新の観測データを用いた、10.3億個の恒星で天の川を再現する「ケイロンⅢ」」
納入した「ケイロンⅢ」は、施設のシンボルカラーとロゴを採用したオリジナルデザインの特別仕様機です。独立調光が可能な天の川は、位置天文観測衛星「ガイア(Gaia)」の観測データに基づく10億を超える微恒星で再現し、すべてのメシエ天体を含む300以上の星雲・星団や2000以上の暗黒星雲がありのままに再現されています。さらに、大気のゆらぎによる星の瞬きや、恒星を等級ごとに調光できる等級差可変機能により、市街地から郊外、そして宇宙空間で見る星空を自然に美しく描き出します。

<主な機能>

  • オリジナルデザインの本体(特別仕様)
  • 約10.3億個の恒星で再現される高精細な天の川(特別仕様)
  • 3.5等級よりも明るい約300個の恒星に固有色を再現
  • 300以上の星雲星団、2,000以上の暗黒星雲の再現
  • 6.5等星までの等級差を自由に調整する等級差可変機能を搭載
  • 市内各地の夜空の明るさに合わせた星空の再現

高精細な8K映像を投映できる全天周デジタル映像システム「バーチャリウムⅡ」
全天周デジタル映像システム「バーチャリウムⅡ」は、8K相当の高精細なビデオプロジェクターに自社設計の専用レンズを装着し、つなぎ目のない美しい映像をドーム全面に映し出します。4台のプロジェクターを使用したデュアルプロジェクションシステムにより、高精細で明るい映像を実現しました。
バーチャリウムⅡシステムでは、88種類の星座絵や星座線、惑星やメシエ天体などの各種画像の投映に加え、観測に基づく宇宙の最新データを搭載し、太陽系外惑星や中性子星(パルサー)の位置を表示できるほか、宇宙の大規模構造まで自在に表現することができます。さらに、光学式の美しい星空とデジタル映像を融合することで、「ハイブリッド・プラネタリウム」ならではの幅広い映像表現が可能です。
また、JAXA宇宙科学研究所の協力のもと、同研究所内の施設を紹介する12本のオリジナルコンテンツを制作・装填しました。JAXAの研究施設が立地する自治体間での連携組織である「銀河連邦」に所属する各地域の風景や、市内全71小学校の校庭から見た風景、相模原市を代表する風景なども撮影・装填され、多目的な利用を可能としています。

<主な機能>

  • 8Kプロジェクター4台による高輝度高精細映像の投映
  • 太陽系や銀河をめぐる宇宙旅行などを再現するシミュレーション機能
  • JAXA宇宙科学研究所内の施設がわかる12のコンテンツ
  • 市内全71小学校校庭からの風景の投映
  • 相模原市を代表する風景の投映

[ その他の改修 ]

宇宙を感じられる未来的な場所に改修
今回の更新では、プラネタリウム機器の納入設置にとどまらず、空間全体を「宇宙を感じられる未来的な場所」として改修しました。直径23mのドームスクリーンを一新し、客席は、多様な利用者に配慮したシアター設計を取り入れ、すべての座席を従来よりもゆったりとした座席に更新しました。一部に電動リクライニング機能を備えた特別シートも導入し、快適性を高めています。

<主な改修内容>

  • 直径23m傾斜型スクリーンの張替え
  • 全席を従来よりもゆったりとした座席に更新し、一部に電動リクライニング機能を備えた特別シートを設置
  • 親子席や車椅子利用者にも配慮した設計による、誰もが快適に楽しめる空間づくり
  • 乳幼児連れや、障害をお持ちのお客様のための多目的スペースの整備
  • 聴覚障害者向け補聴設備(ヒアリングループ)の導入
  • トイレの壁面を、宇宙船の窓から宇宙を眺めているような演出にリニューアル
  • 旧プラネタリウム「GSS-HELIOS」を、移動・展示できるよう再整備

相模原市立博物館

神奈川県相模原市中央区に位置する市立の総合博物館で、1995年の開館以来、地域の歴史、文化、自然、天文を扱う展示を通じて、市民に親しまれ、2024年3月には、累計入館者数が350万人を超えています。また、2010年7月には、小惑星探査機「はやぶさ」の再突入カプセルの世界初公開を実施するなど、隣接するJAXA相模原キャンパスとの連携も深めており、宇宙に関する情報発信拠点としても注目されています。

〒252-0221 神奈川県相模原市中央区高根3-1-15
オフィシャルHP  https://sagamiharacitymuseum.jp/

解説

[ 株式会社五藤光学研究所 ]
プラネタリウム、大型映像システム、天体望遠鏡製造のトップメーカー。 特にプラネタリウムでは小型から超大型のプラネタリウムに至るまで多機種を開発し、現在では1000台を超える納入実績(累計)があります。全天周フィルム映像(アストロビジョン)や全天周デジタル映像装置(バーチャリウム)では、他社に先駆けて機器システムを開発する他、機能を活かした映像コンテンツを制作し、機器の維持管理、施設運営なども行っています。

〒183-8530 東京都府中市矢崎町四丁目16番地
オフィシャルHP https://www.goto.co.jp/

[ ハイブリッド・プラネタリウム ]
式会社五藤光学研究所が2004年に開発、提唱した新しいプラネタリウムシステムです。光学式プラネタリウムと様々な迫力ある映像を投映する全天周デジタル映像システムを融合させ、各々が常に同じ座標空間を投映できる仕組みを有するもので、日本国内に留まらず、プラネタリウム発祥の地であるドイツをはじめ、米国、欧州、中東、アジア諸国などに数多くの納入実績を誇ります。
同システムは、ドーム径に応じた各種の光学式投映機を有しており、ドーム径4mから最大50mまで幅広く対応しています。

[ ケイロンⅢ ]
ドーム直径16~30ⅿの中・大型ドーム向けの光学式プラネタリウム。明るくシャープな星像で、色彩豊かな自然で美しい星空を提供することができる他、約1億個の微恒星で描かれる天の川を恒星とは個別に調光できるなど、多彩な機能によって幅広い用途に応じた星空の再現ができます。「ケイロンⅢ」は、これまでに札幌市青少年科学館(北海道)、さいたま市宇宙劇場(埼玉県)、大崎生涯学習センター(宮城県)、府中市郷土の森博物館(東京都)、安城市文化センター(愛知県)、倉敷科学センター(岡山県)、さぬきこどもの国(香川県)、浜松科学館(静岡県)、三重県立みえこどもの城、北九州市科学館(福岡県)、Planetarium Śląskie Park Nauki(ポーランド)、富山市科学博物館(富山県)、東大阪市ドリーム21(大阪府)、仙台市天文台(宮城県)、千葉市科学館(千葉県)に納入。今後も、国内外への納入が予定されています。

※ ハイブリッド・プラネタリウム、バーチャリウム、ケイロンは、日本国内における株式会社五藤光学研究所の登録商標です。

本件に関するお問い合わせ:  株式会社五藤光学研究所 営業本部 企画営業 TEL 042-362-5366